2026.07.02/五千尺ホテル上高地/五千尺ホテル上高地 ホール
五千尺ホテル上高地 |上高地のテロワールを味わう一夜「100 Mile Wine & Dine Experience」開催レポート

2026年6月13日(土)五千尺ホテル上高地にて、
一夜限りのスペシャルディナー「100 Mile Wine & Dine Experience at GOSENJAKU」を開催いたしました。
本イベントは、上高地を中心とした半径100マイル、約160km圏内に広がる食材とワインに光を当てる試みです。
五千尺ホテル上高地が大切にしているのは、都市の美食をそのまま山へ持ち込むことではありません。標高約1,500mの山岳リゾートで過ごす時間、梓川の清らかな流れ、穂高連峰を望む空気、朝夕の冷涼な気候、そして山を訪れる人々の身体と心。そのすべてに寄り添う料理こそ、上高地にあるホテルとして私たちが届けるべき食体験だと考えています。
今回のレポートでは、当日お届けした料理の一部と、シェフ 山﨑直樹へのインタビューを通じて、五千尺ホテル上高地がこれから育てていきたい食の姿をご紹介します。
当日の様子はこちらの動画をご覧ください。
100 Mile Wine & Dine Experience at GOSENJAKUとは

「100 Mile Wine & Dine Experience at GOSENJAKU」は、上高地を中心とした半径100マイル、約160km圏内の食材とワインで構成した、一夜限りのスペシャルディナーです。
私たちが掲げるのは、「ジャパンアルプス/上高地のマウンテンリゾート・キュイジーヌ」。
フレンチの技法を礎としながらも、表現の中心にあるのはジャンル名ではなく、この土地にいるからこそ出会える味わいです。山の食文化、信州の素材、発酵や保存の知恵、登山文化に通じる滋味深さを、現代のホテルダイニングとして再構築していく。その大切な一歩として開催したのが、今回のディナーです。
料理を手掛けたのは、シェフ 山﨑直樹。ワインのキュレーションは、ソムリエ 大槻周太郎が担当しました。
スペシャルディナー開催概要
- イベント名:100 Mile Wine & Dine Experience at GOSENJAKU
- 開催日:2026年6月13日(土)
- 会場:五千尺ホテル上高地 2階 メインダイニング「GRAND」
- 内容:100マイル圏内の食材とワインを中心に構成する一夜限りのスペシャルディナー
- 料理シェフ:山﨑直樹による特別コース
- ワインソムリエ:大槻周太郎によるペアリング

100マイル圏内の食材とワインを、一夜の物語へ
「100 Mile Wine & Dine Experience」は、上高地を中心とした半径100マイル、約160km圏内に広がる食材とワインに光を当てる試みです。
長野県、岐阜・飛騨高山エリア、北陸地方。山、川、里、海へと連なるこのエリアには、気候風土に根ざした多様な食の恵みがあります。
その土地で育まれた野菜、川魚、きのこ、ジビエ、信州牛、果実。そして、冷涼な気候や個性ある土壌を映すワイン。
輸送距離を抑え、地域の生産者や自然環境に敬意を払いながら、料理とワインを通じて「テロワール」を体感していただくこと。それが本ディナーの核となる考え方です。
本ディナーを構成する3つの価値
- ローカル:100マイル圏内の食材とワインを中心に構成
- サステナブル:輸送距離や環境負荷に配慮した食体験
- ラグジュアリー:土地に根ざした上質な時間と物語性
このディナーが生まれた背景
今宵のディナーは、五千尺ホテル上高地にとって、ひとつの大きな節目でもありました。
これまで長きにわたり当ホテルのコース料理を牽引してきた小浜英展シェフから、今回初めて、安曇野出身の料理人・山﨑直樹がスペシャルディナーの料理を担当。
上高地のシーズンが始まる前の冬、総支配人 丸山、山﨑シェフ、そしてソムリエ 大槻の三人で、ローカルをテーマにしたレストランを訪ね歩きました。その視察を通じて強く感じたのは、遠くのものを足して豪華に見せる時代から、足元にあるものを深く掘り下げる時代へと、美食の価値が変わりつつあるということ。
「ないものを嘆くのではなく、あるものを掘り下げる」——その姿勢が、このディナーの根底にあります。

コース料理の一部をご紹介
アミューズ|信州の郷土料理をひと口の物語へ
料理:佐久の鯉の洗い / 黄金軍鶏と野沢菜のケークサレ / 稚鮎の円揚げ
ペアリング:小布施ワイナリー グラップアンティエール

最初にテーブルに届いたのは、信州の水・里・川を小さな三つの景色に仕立てたアミューズ。
佐久市・飯田養魚場の鯉を洗いに、黄金軍鶏と野沢菜のケークサレ、そして稚鮎の円揚げ。信州の保存食文化や初夏の川の恵みを、軽やかなひと口に凝縮した三品です。
なかでも山﨑シェフが特別な思いを込めたのが、自身の地元の味「円揚げ」のアレンジでした。
「信州の郷土料理をアミューズに取り入れてみたかった。 自分の地元の円揚げをアレンジして出せて、素直によかったと思っています。」
― シェフ 山﨑直樹
稚鮎のほろ苦さ、山椒と木の芽の香り。上高地の初夏の季節を、一口で感じていただける一皿です。
合わせたのは、小布施ワイナリーのグラップアンティエール。ワインの酸と果実味が、鯉の洗いの柑橘・生姜・醤油麹と響き合い、三つの信州の風景をひとつにつなぐ存在となりました。
前菜|長野県産椎茸とヴィニクローブ ピノノワール
料理:長野県産 椎茸
ペアリング:ヴィニクローブ(長野県高山村)ピノノワール

続いて登場したのは、信州を象徴する食材のひとつ、椎茸を主役に据えた前菜です。
椎茸の傘、軸、出汁を余すところなく使い、香り、旨味、食感を重ねた、森の密度を感じる一皿。椎茸の出汁を使ったベシャメルソース、卵黄、ペコリーノロマーノ、レモン、りんご、オリーブオイルのソースを合わせ、深い旨味に信州らしい酸と果実味を添えました。
「信州といえば、というところからキノコをチョイスしました。 形をそのままに、”ザ・椎茸”という存在感を皿の上で表現したかった。 40名分を一気に出すので個体差があり、火入れには特に気を遣いました。」
― シェフ 山﨑直樹
素材そのものを正面から見つめ、椎茸という食材の力を丁寧に引き出した一皿。
今後については、
「春は山菜、冬はキノコを中心に使っていきたい。 いつかポワソン(魚料理)のような存在感の一皿に育てていけたらと考えています。」
― シェフ 山﨑直樹
マウンテンキュイジーヌにおけるキノコの可能性は、まだ扉を開いたばかりです。
魚料理|白馬産オオイワナとKIRINOKA シャルドネ 白鷗
料理:白馬村のオオイワナ
ペアリング:KIRINOKAヴィンヤーズ&ワイナリー(長野県辰野町)シャルドネ 白鷗

魚料理には、白馬村・郷津様の清流で育ったオオイワナを使用しました。桜の葉でやさしくマリネし、クラシックなパイ包みに。イワナの出汁を使ったヴァンブランソースを添え、川魚ならではの繊細な旨味を引き出しています。
清流の静けさ、山の冷たさ、澄んだ脂。そこに桜の葉の香りが重なることで、初夏の上高地に少しだけ春の記憶が戻ってくるような一皿になりました。
このオオイワナのパイ包みは、白馬の川魚をフランス料理の伝統で包み、桜葉と出汁で山の記憶へ戻していく料理です。クラシックでありながら、上高地でしか成立しない一皿を目指しました。
「以前お店でオオイワナを食べて、感銘を受けたんです。 これを、臭みの少ない郷津さんのオオイワナでやってみたかった。」
― シェフ 山﨑直樹
ペアリングは、長野県辰野町のKIRINOKAヴィンヤーズ&ワイナリー「シャルドネ 白鷗」。山の清流が育んだオオイワナの旨味と、冷涼な気候が生んだシャルドネが重なり、上高地の空気を器のなかに感じるひとときとなりました。
デザート|中野市の佐藤錦とサンサンワイナリー ポム・デセール
料理:長野県中野市の佐藤錦
ペアリング:サンサンワイナリー(長野県塩尻市)ポム・デセール

締めくくりは、長野県中野市の佐藤錦と、軽井沢・アトリエドフロマージュの生チーズ。
ペアリングにはサンサンワイナリーのポム・デセール。
さくらんぼの華やかな甘酸っぱさに、小梅のシロップ漬け、チェリーと長野県産スパークリングワインのソルベ、そしてマスカルポーネチーズムースを合わせた、初夏の果実が持つ瑞々しさの詰まった一皿です。
信州の果実と乳の豊かさが溶け合い、初夏の夜の余韻をやさしく包み込みます。
甘みの中に宿る酸と清涼感は、まるで上高地の夜風のようでした。
シェフ 山﨑直樹インタビュー|100マイルで見えてきたもの

半径100マイル圏内の食材で構成した理由
― 今回のテーマについて、半径100マイル圏内の食材だけでコースを構成しようと思った理由を教えてください。
「長野県内の食材だけで、一度コースをやってみたかったんです。限られた食材の中でやり切ることで、普段のコースの幅が広がると思っていました。」
限られた範囲の中で表現するからこそ、素材との向き合い方はより深くなります。
「どこから取り寄せるか」ではなく、「この土地に何があるか」を見つめること。その視点が、今回のディナー全体を貫いていました。
生産者との対話から見えてきたこと
― ソムリエや生産者の方と話して、気づいたことはありましたか?
「まだまだこれから。いろいろな食材や生産者を見つけて、少しずつ広げていく段階です。」
今回のイベントは、完成形ではなく、五千尺ホテル上高地の新たな食の物語の始まりです。
信州の食材、生産者の想い、上高地という土地の空気。それらをどのように一皿へ昇華していくか。山﨑シェフの挑戦は、これからも続きます。
ソムリエ 大槻周太郎 インタビュー|土地の記憶に寄り添うペアリング

100マイル圏内のワインの中で、選定において大切にしたことはなんですか?
料理より前に出ず、山﨑シェフの皿が語る土地の記憶に寄り添うことを大切にしました。上高地の空気に合う透明感、軽やかさ、酸、余韻を意識し、食材の背景にある水や森、季節感を照らすワインを選びました。
生産者と直接対話する中で、気づいたこと・変わった視点はありましたか?
「近い」とは距離だけでなく、生産者の顔や土地の背景が見えることだと実感しました。味わいだけでなく、水、土、気候、人の手仕事まで含めて選ぶことで、ワインや食材がより深い物語を持つと感じました。
山﨑シェフとのコラボレーションを経て、「五千尺キュイジーヌ」の可能性をどう感じていますか?
上高地の水、森、山、風を、山﨑シェフの感性と技法で再編集することで、ここでしか味わえない料理が生まれると感じました。川魚、山菜、きのこ、ジビエなどを軸にした山岳ガストロノミーに、大きな可能性を感じています。
「日本アルプス上高地にいるからこその食事」の在り方
その土地にしかない価値を丁寧に見つめ、自然や生産者への敬意を持ち、お客様の記憶に残る時間としてお届けすること。
上高地に滞在するという体験は、景色だけで完結するものではありません。
目に映る山々、耳に届く水音、肌で感じる空気。そして、その土地を味わう食事が重なってこそ、旅の記憶はより深いものになります。
「100 Mile Wine & Dine Experience at GOSENJAKU」は、そうした私たちの考えを形にするための、大切な一歩です。
今後も五千尺ホテル上高地では、上高地の自然と信州の食文化に根ざした美食体験を磨き、日本アルプスの山岳リゾートにふさわしいホテルダイニングの在り方を発信してまいります。
「Nature’s Harmony 2026 : Natural Wine meets GOSENJAKU」は2026年9月26日開催

2026年初秋。この度3回目を迎えるナチュラルワインの饗宴「Nature’s Harmony 2026 : Natural Wine meets GOSENJAKU」を開催いたします。
テーマは、「発酵と熟成」の五千尺キュイジーヌの真髄 ×「地球の限界点」に息づくナチュラルワイン。
日本の美しい風土を映す五千尺キュイジーヌと、氷点下や極乾燥など、過酷な環境で育まれた個性豊かなナチュラルワインを組み合わせ、上高地の夜にふさわしい特別なペアリング体験をお届けします。
上高地で宿泊を予定されている方、上高地のホテルで特別なディナーを楽しみたい方、またナチュラルワインとフレンチのペアリングに興味のある方におすすめのイベントです。
「地球の限界点」をテーマにしたナチュラルワイン
「Nature’s Harmony 2026」のワインテーマは、地球の限界点です。
氷点下でブドウが凍結し、糖度を凝縮させたアイスワイン。
極乾燥の山岳地帯で逞しく根を張り、力強い生命力を宿したワイン。
ブドウ栽培が容易ではない環境で生まれたワインには、その土地の気候、土壌、そして造り手の哲学が深く刻まれています。
一杯のワインが、気候変動やテロワールの変化を静かに語りかける。
その味わいは、まさに地球から届くメッセージのようです。
当日はソムリエによる丁寧な解説とともに、それぞれのワインが持つ背景や土地の物語もお楽しみいただけます。
小浜英展料理長が表現する「発酵と熟成」の五千尺キュイジーヌ

料理を手掛けるのは、五千尺ホテル上高地の料理長・小浜英展。
今回のスペシャルディナーでは、小浜料理長が大切にしてきた「発酵」と「熟成」を軸に、食材本来の旨みを丁寧に引き出したコースをご用意いたします。
出汁の旨みを活かした優しい味わい、素材の自然な風味を大切にする調理法は、小浜料理長ならではの魅力です。化学的な操作を極力抑え、ブドウ本来の個性を映すナチュラルワインとも深く響き合います。
料理とワイン、それぞれの発酵が重なることで生まれる奥行きある味わい。今回は「果実の酸」「大地の旨味」「清流の余韻」をテーマに、3章6皿のコースとして表現いたします。
上高地から160km圏内の中央高地・北陸海岸の食材を中心に、国内各地の厳選素材も取り入れた一夜限りの美食体験を、ぜひお楽しみください。
詳細・ご予約は、以下の記事よりご確認ください。
上高地で過ごす特別な夜に、早めのご予約を

「Nature’s Harmony 2026 : Natural Wine meets GOSENJAKU」は、2026年9月26日(土)に開催する一夜限りのスペシャルディナーです。
五千尺ホテル上高地は、上高地を代表するランドマーク・河童橋の目の前に位置する上高地のホテルです。
上高地宿泊とあわせてお楽しみいただくことで、夕食後も移動を気にせず、山岳リゾートならではの静かな余韻に浸っていただけます。
上高地で特別なホテルディナーを楽しみたい方、ナチュラルワインと料理のペアリングを体験したい方、記念日や大切な方との上質な時間をお考えの方は、ぜひお早めにご検討ください。
2026年初秋の上高地で、料理、ワイン、自然が響き合う一夜を。
皆様のご予約を心よりお待ちしております。



